東京装画賞授賞式と坂川栄治さんのこと



〔授賞式のこと〕 

東京装画賞の授賞式に行ってきました。入選なのですが、賞状をいただけるとのことだったので、これは最初で最後かもしれないと思い笑、いただいてきました。授賞式が終わり、ギャラリーの受付でこそっと「あの、しょ、賞状を、、、」と言ったら、スタッフの方が卒業式のように、うやうやしく「おめでとうございます!」と渡してくださいました笑

展示は本の形になって飾られていて、とても嬉しかったです。いつかまた本のお仕事ができたらいいな、やっぱり紙の本が好きなので。


〔坂川先生のこと〕
入選を知った時の話しです。昨年の冬。賞に入ってない人には連絡が来ないので、落ちたのかなーと装画賞のサイトを見たら名前が載っていて、思わず立ち上がって「坂川先生!」と心の中で言っていました。
 装丁家の坂川栄治さん。私は2010年に坂川さんの主催する装画塾に通っていました。修了後も絵のことを相談しに行ったり、夫の展覧会を開いてくださったりと、何度もお会いする機会があり、いつも若手の絵描きを応援してくださっていて、なかなか芽の出ない私にもアドバイスをくださってました。一度、先生が装画賞の審査員の時に送ってみたことがあるのですが、一次通過までで、自分の未熟さを感じましたし、もっと研究せねばと思いました。
 でもやればやるほどわからなくなってしまうことってありますよね。正解がなんなのか、自分はどう描きたいのか、自問自答の日々で、絵を描くことが苦しいなぁと思うこともありました。

最後にお会いした時に、やっぱり絵のことでぐじぐじと悩んでいる私に、
「好きに描いたらいいんだよ」
とやわらかい表情で言っていただき、なんだか不思議な気分になりました。
手を離されたような、許されたような、複雑な気持ちでした。
「いいのかな、好きに描いて。」
いつも私が思ってることです。絵のことを考えすぎてる時ほど、先生の言葉が響きます。

 今日も、「坂川先生見てますかー?」と心の中でお話ししながら、展示を見ていました。落ちた他の絵は何がだめだったのか、ご意見を伺いたかった笑
 最後にお会いした時、「先生」と呼んだら「え?」という顔をされたので、ああもう先生と呼ぶのはおかしいのかな、と「坂川さん」と呼び直したのだけれど、やっぱり私にとってはいつまでも「先生」だと思っています。




追記:坂川先生のことを書こうと思ったのは、父のことがあったからです。父は物書きで著作物もあり、坂川先生も父のことをご存知で、その時は「へー有名なんだなぁ」とぼんやりと思っていました。そんな感じで、小さい頃から父の作品のことを聞くたびに、どこか他人事というか、私にとってはどんなことをしていても「お父さん」でしかないので、あまり父の著作物などに関心がありませんでした。でも父が亡くなり、寂しくて父の名前を検索すると、SNSやブログで父のことを書いてくださっている方を発見しては、心がじんわりと温かくなるのを感じました。好かれていたのだ父は、と嬉しくなったし、知らなかったエピソードを知ることができて、やっぱり嬉しくなりました。もし、ご家族や関係者の方がこのブログをみつけて、私のような気持ちになっていただけたらいいなと勝手に思って書きました。

坂川先生と私はとても親しかったという間柄ではなく、装画塾の先生と生徒、デザイナーとイラストレーターという関係で、でもお会いするたびに親しみを感じて、私は口下手なので先生の冗談に笑うことくらいしかできなかったのですが、その小さなやりとりが楽しかったです。
そんな小さな関係性でしたが、私の「絵を描くという人生」にとっては大きな出会いでした。坂川先生と一緒に本のお仕事をしたいと思っていましたが叶いませんでした。でもそれは私の力量や運なので、仕方のないことです。もしこの先本のお仕事ができる日がきたら、やっぱり心の中で先生と父に真っ先に報告すると思います。




展示のお知らせ

展示のお知らせ

東京装画賞にて入選した作品を展示していただけることになりました。
本を読んでからご覧になると、いっそう面白いと思います。

<東京装画賞展>
期間 2022.6.2(木)–6.14(火) 休館8(水)
時間 11:00–19:00(最終日は16:00まで)
場所 ギャラリー路草























 

 


先月父が他界し、父のことをほとんど知らないことに気づきました。対話が少なかったし、家にいても自分の世界で生きているような人だったので、家族らしいことをしてきましたかと聞かれたら、「……?」となります。

それでも、涙が止まりません。父を失って、自分の魂の一部を持っていかれてしまったような気持ちになってしまい、毎日泣いてしまって、しばらくなにかを作る気になれませんでした。
ドイツに住んでいる姉が帰国して側にいてくれたおかげで、出かけたり笑ったり一緒に泣いたりが出来たのですが、帰ってしまうと喪失感に襲われてしまい、ものすごく戸惑いました。


4月の毎日の絵作りは、父をテーマに、父が残した書き物や写真などをもとに描きました。父を知るためでもあり、私自身をどうにか動かすための行動でした。
父の死を知ってから死に関する本を複数読み、それらに共通して書かれていたことは、「哀しみと向き合うことが大事」ということでした。忙しくしたり考えないようにしていると、後々自分の心に歪みが出てきてしまうんだそうです。今向き合っておかないと、動けなくなる気がしました。


今日はどうしよう、何を描こうと机に向かって、でも発作のように泣いてしまって、哀しみだけではなくて喜びや笑うこともあるので感情がぐちゃぐちゃになりながらなんとか手を動かして、絵を描くことで1日をちゃんと全うした気持ちになれました。


これでいったん父をテーマにした毎日の絵作りは終わりにしますが、また描くこともあると思います。ご覧いただき、ありがとうございました。
最後はいつ描いたかもわからない、父の机にずっと飾られていた(はがすのが面倒くさかっただけかもしれないけど)、私の幼少期の絵です。
少なからずとも、私を想ってくれていたのだと信じて。

イラスト|読む子


 













イラスト|読む子

小さい子が集中して本に向かっている姿を見かけると、
何を読んでいるのかなと気になります。

イラスト|歩む


 
















イラスト|歩む


さらさらと 小川の音
風が吹いて ススキが揺れる
幼いあなたを乗せた船がゆらゆらと
魚の鱗が白く光る
あなたが歩いたその道で なにがおこっているかなど無関心に
杖をついて ゆっくりと
歩いていく 見えなくなるまで歩いていく

イラスト|しゃぼん玉飛んだ


 

















イラスト|しゃぼん玉飛んだ

山を見ると、その傾斜に寝そべりたくなります。